通りすがりの幽霊

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「うん。焼き付ける。脳と心と、体に」  マサトがまた突き上げる。 「んあ! んなら、暴れんなって」 「気持ちいいから動いちゃう」 「わかるけどさ、目つぶっちゃうよ」 「そこは頑張って」  楽しそうに突き上げながら、片手で胸の突起を弄る。ビクンとすでにパンパンになってる俺のが揺れる。 「あ! わっ、やめろってば」 「キュッてなった。こっちも敏感でいいねぇ」 「イジワルか」 「照れてるの可愛い~」  そのあともたっぷり幸せな時間を過ごし、疲れ果てた俺達は裸のまま惰眠を貪った。目が覚めたらもう夕方で。  昼飯も食べずにヤリまくってしまった。  胃がキュウと泣いている。  マサトが「寝てていいよ」と言って、服を着て階下に降りる。パンツだけ履いてベッドの上でゴロゴロしてると、しばらくしてマサトが戻ってきた。手にはトレーにのせたチャーハンと水の入ったコップ。美味しそうな匂い。一気に口内にヨダレが分泌される。 「はい。おまたせ。チャーシュー入り炒飯マサトスペシャルだよ~」 「うわぁ、すっげぇ。料理作れるの知らなかった」 「まぁね。あ、ちなみにチャーシューもいちから手作りだよ」 「え、なにそれ。プロ?」 「んふふ。海里、絶対料理下手くそだと思って、こっそり練習してた」 「わっかんねぇよ? 作ったことないけど。って俺のために料理始めたの? サラッと言ってるけど、すごくね?」 「計画を立ててたんだよ。海里と付き合うためにまず胃袋掴もうかなって。毎週、一人暮らしの海里のところで美味しい料理を食わせれば、俺なしじゃ生きていけなくなるだろ? 平日はひもじくコンビニのおにぎり。でも週末にはマサトが来てくれるって」 「策士だねぇ~、って俺めちゃめちゃ愛されてんじゃん。今日の涙はなんだったんだろうな。いただきまーす!」 「どうぞ。召し上がれ」 「お! これ、めっちゃ美味しい!」 「ほんと? よかった!」  ガツガツもぐもぐしてると、マサトが優しく微笑んでほっぺに付いたご飯粒を取ってくれた。そのご飯粒を自分の口に入れる。 「わ~、彼女みたい」 「彼氏だよ」 「俺も彼氏ね。入れられちゃったけど」 「あ、海里も入れたい? 俺どっちでもいいよ?」 「マジで!? やるやる」  俺達は顔を見合わせて大笑いした。チャーハンのご飯粒が勢いよく飛ぶ。 「海里ぃ」  マサトがティッシュでササッとご飯粒を拾った。 「そういうところな」 「さーせん」  短絡的でまぁまぁ雑な俺と、意外に真面目で長期的視野のあるマメなマサト。やっぱ相性はピッタリだと思う。しかも最高の相性。まぁ、これは俺の立場から見た話なんだけど。
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