同居

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「湊さ……うわぁ!」  突然彼にベッドに引き寄せられる。 「もう少しだけ寝かして……?」  だからと言って、なんでこんなに密着しなきゃいけないの!? 「わかりましたから!湊さん、離して……」 「ダメ」  うーん、どうしたらいいかな。  料理が冷めてしまうが、もう少し彼を寝かせてもあげたい。  でも甘やかしてもいけない気がする。 「湊さん、料理冷めちゃいますし、一緒にプリン食べましょう?」 「ん……。食べる」  まさかのこんな一言で彼は起き上がった。  目を擦っている。  本当に甘い物が好きなんだ。 「うまそー!」  目が覚めたのか、私が作った料理を見てご機嫌な彼。 「いただきます」  手を合わせて、お味噌汁を彼は一口飲んだ。  料理は得意だと言ってしまった手前、口に合うのかどうか心配だった。  私は彼の味の反応を待つ。 「あの。揚げたてなので、熱いかも……」 「熱っ!」  先に注意をしておけば良かった。 「湊さん、お水!」  私は水を差しだしたが、いらないと手を振る彼。  口に入っていた唐揚げを全て飲み込んだ。  口の中、火傷していないだろうか。 「お前!」  熱かったことに対しての苦情や味に対しての苦情か、私の身体がビクっと反応した。   「はい、ごめんな……」 「本当に料理上手だな!」  てっきりクレームが入ると思っていたので、ホッとした。 「それは良かったです」 「外食とかでしか揚げたて食べたことない。家でこんなに美味い唐揚げ食べられると思っていなかった。あと味噌汁も美味いし、味付けもちょうど良い」 「これから毎日食べれると思うと、嬉しい」  なぜだろう、ドキッとしてしまった。  そうか。これから毎日湊さんと一緒の生活なんだ。 「喜んでもらえて良かったです。正直、安心しました」  彼はご飯のおかわりまでしてくれた。 「デザートはすぐ食べますか?」 「食べる!」  私は二つプリンを準備した。  彼の前に二つ並べる。 「一つはお前のだろ?」  一つは私の前に返された。  一口プリンを食べた彼は 「美味い!」  美味しそうに食べていた。  私も一口食べる。 「美味しい!」  甘い物を食べるの久しぶりだ。  私の表情を見て、彼が微笑んでくれた。  そんなに優しい顔もしてくれるんだ。 「ほら、俺の一口あげる」 「へっ?」  スプーンに乗せられたプリンを目の前に出された。これはいわゆる、あーんの状態。 「早く食べろ」  これって、湊さんが使ってるスプーンじゃないか。  そう心の中で思ったが、強制的な彼の姿勢に抵抗することはできず、パクっと一口食べた。 「美味しい……」
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