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(リーゼ視点)
「ただいま、今日も僕の奥さんは綺麗だね。」
「お帰りなさい、もう、お客様の前でやめてください」
ドアを開けるなり花束を渡してハグ。
「セルジオさん、キャラ変わってませんか?」
こそっとカインに聞く。
「ああ、職場とプライベートは完全に分けると本人は言っている。奥方の希望でもあるそうだ。」
なるほど。職場ではわりと皆さんの面倒をみて、お母さんのように口やかましいと言われていたけれど。
もう一つのブーケは、どうするんだろう。私にくれるのかな?とちょっと思ってたんだけど、勘違いだったなら恥ずかしいな
「カインーーーーー!!」
ふわっふわの髪がカイさんの腰に埋まった。
ものすごい勢いで走りよってきた女の子。
「今日も元気だね、ローズ」
「ローズ、父様も帰ってきたよ、
リーゼ嬢、わたしの最愛の妻メリッサと娘のローズです」
セルジオの出した手をローズは見向きもせず、カインとメリッサさんは苦笑いをしている。
いつもこうなのだろう。
「いらっしゃいリーゼさん。団長の婚約者を連れていくからってこの人が伝令を送ってきたから驚いたわ。こんなに可愛らしいお嬢さんだなんて。カイン団長は幸運ね」
ミルクティー色の髪をゆるく編み込んでにっこり笑う奥様。
きれいな人。優しそう。
それになんか。
余裕がある。
「急にお邪魔することになってすみません」
お土産を手渡す。
「まあ、お気遣いありがとうございます。さあ、座ってくださいな。食事にしましょう」
そのあいだ、ローズちゃんはカインに張り付いてる。
カインは抱っこしようとしているのか引き剥がそうとしているのかわからないが、丸め込んでテーブルまで行った。
「カイン!カイン!大好き!ローズいいこにしてたから結婚して」
しがみついてるのを無理やり椅子に座らせる
「ごめんなさいね、この子ったらカインさんが大好きで。」
「ローズ、父様の横に来るかい?」
「カイン、今日は泊まっていく?」
無視されてセルジオさんが悲しんでいる。
ローズと目が合った。
「だれあの人」
「俺の奥さんになる人だ」
「イヤーーーーーー!!!!!!」
「ローズ」
低い声が聞こえた
「食事を始めるわよ。座りなさい」
お玉を片手にメリッサさんがローズちゃんの前に立っていた。
ローズちゃんの表情は見えなかった。
メリッサさんがキッチンへ戻ると、ローズちゃんは席に座った。
いちばん怒らせたら怖いのはメリッサさんだ、多分
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