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ホワイトシチューは湯気をたてて、パンはカリッと程よく焼いてあり香ばしい。 香草のソースのかかったポテトと、生野菜のサラダ。ワインのボトルと、レモンの浮かんだデキャンタ。 レース編みのテーブルクロスとよく磨かれたカトラリー。 とても計算されて配置されていて、レストランのようにも思えるほど完璧なのに食器は素朴な木の器。その温かみがリラックスさせてくれる。 にっこりと笑うメリッサさん。 女主人のおもてなしスキルが高すぎる。 いいなあ。こんな風にくつろげる家だったら旦那さん喜ぶのかな。セルジオさんを見るとニコニコしている。 カインを見ると、シチューを嬉しそうに食べている。 そして ローズちゃんに睨まれている。 最強のライバルって、これか 確かに、まっすぐな愛情で恐いくらい。嫌味を言ってきた令嬢や侍女たちとは違う。あの人たちはカインさんが好きじゃないけど魔術師団長の地位を羨んでたから。 「リーゼ、どうした?」 カインさんが首をかしげて覗き込んできた。 「お腹あまりすいてない?苦手なものがあったら俺にちょうだい?」 「いいえ、美味しいです。」 「たくさん歩いて疲れた?セルジオのせいで」 「そんなことは!」 メリッサさんがニコニコしながらセルジオさんの耳を引っ張っている。 「あら、何をしたのかしらアナタ」 「痛い痛い痛い、メリッサ落ち着いて。 この二人はデートする暇もなかったから街を歩くのもいいだろうと思って、ちょっとしたおつかいのようなものですよ」 「そうだったんですか」 セルジオさん、わざわざそんなことまで 「それなら普通に街に出掛けてもデートくらい、」 カインがボソッと呟いた。 「できますか?できませんよね、激務てすよね。俺が婚約中にメリッサの誕生日にデートを予定してたのに魔獣討伐引き受けやがりましたよね。まあそれで俺は権力大事って気づいたから魔力量よりも事務能力で副団長もぎ取りましたけど。 だいたいお前が街に出ることも滅多にないのにリーゼ嬢に全部案内させる気か?バカ?魔力多いだけのバカなの?初恋こじらせた五歳児か?」 セルジオさん、ほんとうにキャラ変わってる?いや、仕事モードはこっちに近いのかな 「リーゼさん、王女宮にお勤めなんでしたっけ。」 「はい」 ワインのおかわりをいただく。 「未婚の王族の侍女は、ただ有能なだけではなく心根のまっすぐな女性が望ましいと聞きました。良くも悪くも、こういってはなんですが王族の方は温室育ちというか、身近な者の影響を受けてしまうので。リーゼさんを選ばれた方は、あなたの内面を評価されたのでしょうね」 「第二王女の心に寄り添えるかどうか、失礼ながら、少し夢見がちで幼い面が心配だとお聞きしています」 そんなことを誰が! ふ、不敬だわ、これは王女付きとして言わなければいけないのかしら、それとも メリッサさんが笑い出した。 「ごめんなさいね、意地悪なことを言ったわ。これは王妃さまが仰ったのよ。私は王妃様にお仕えしていたので、今も時々伺うの」 「王妃さまの!」 侍女のなかでもエリートだ。
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