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メリッサさんはセルジオさんと一緒に昼食をとるそうで、魔術師棟へ行くそうだ。一緒に誘われた。 「お仕事の邪魔になりませんかね?」 「大丈夫よ。セルジオがしっかり休憩を取るから、カインは棟に残るかもしれないけど。その時は何かテイクアウトを買ってきてあげたらちょうど助かるんじゃないかしら。カインが食事を抜くのをセルジオも心配していたから、 あ、こういういかにも過去を知ってますっていう言い方はリーゼさんの前では控えた方がいいわね。ごめんなさいね」 「いいえ!まさか。メリッサさんにそんなことは思いません。 実際セルジオさんも仰ってましたし。 前に……あの人の時は嫌でしたけど」 そう、廊下でいきなり声をかけられたので怒りをきちんと向ける暇がなかった。それが悔しい。言われた内容はカイさんを信じているので、それほどダメージは無いけれど。 「ふふふ、あの女またふざけた真似をしてくれてるわね。今日あたり、またやってくれると思うのよ。ちょうど報告に来るはすだから」 メリッサさん、指をバッキバキ鳴らしています。 怖いのに美しい笑顔。 魔術師棟に差し掛かった辺りで、魔術師がメリッサさんを見てサッと横に避ける。 「お久しぶりです、メリッサさん!」 「お疲れ様です!メリッサ姉さん!」 男女問わず、頭を下げていく。 新人の呑気な声がする「わー、キレーな侍女さん。誰っすか?紹介してくださいよ」 「バカ、セルジオ副団長の奥様だ!」 「え!じゃあ隣の可愛い侍女さんでいいから紹介」 「お前殺されるぞ、団長の婚約者様だ!」 ひいい、と走り逃げていった。 「あらー、元気ねえ今年の新人は」 メリッサさんはニコニコしている。 団長の執務室に続く階段の下で、なにやら数人の魔術師が集まっていた。 近づいてみると、女の高い声がする 「なんで私が入れないのよ!」 赤い髪が見える。サラだ。 魔術師の間では過去の騒ぎも知られているようで止められているらしい。 「たいへんね、あなた達も」  怒鳴られている魔術師団員たちに代わってくれるように背中をポンと叩いていく。 「そこ、退いてもらえるかしら?」 「あ?」 サラは顔を上げて、メリッサだとわかると、苦虫を噛み潰したような顔をした。 「誰かと思えば、メリッサじゃない。主婦は子育てでもして旦那に養われてりゃいいのよ。何しに旦那の職場まで来てんのよ。ヒマなの?」 リーゼも、魔術師たちも恐怖で固まった。 本当にヤバい人って、誰を怒らせたらマズイのかわからない人だ。 サラ、ヤバい人認定。 「虫がうるさいわね」 にっこり笑ってメリッサさんは通ろうとする。 「は?なんであんたが通してもらえるのよ」 「配偶者ですから。 職場で男漁ることしか考えてないの?だから脳が溶けるのよ。自分がたいした魔力を持ってないからって魔力持ちの男性に片っ端から声かけて誘惑して、あんたが二流の魔術師なのは魔力量じゃなく鍛練の問題よ。」 「な、なんですってーーー」 「しかも今度はカインを狙ってこの娘をいじめたんですって?どれだけ恥知らずなの。カインより○○歳も年上で、カインが子供の頃は馬鹿にしていたくせに団長になったからって昔一緒にお風呂に入ったとか言いふらして他の女性が近づかないようにしてたわよね カインが10歳くらいまで、女性魔術師みんなで可愛がってただけでしょう ほんと、恥ずかしい人ね」 サラは あ、とか う、とか 声を出すものの 反論せずにプルプル震えている。 「サラさん、幾つなんですか?いや、メリッサさんもわからないですけど」 「リーゼちゃん、年齢が恋の邪魔になることはないわ。人は幾つでも自由よ。 ただ、それなりに生きた人間にはそれなりの分別を持ってほしいのよねえ。」 にっこりと笑ってメリッサさんはサラの横を通る。 「メリッサ、あんただって容姿が衰えたら捨てられるんだからね」 そんな捨て台詞を残してサラは足取り荒く出て行った。 「メリッサ、手間かけさせてごめんねー」 セルジオさんが階段の上から顔を出して笑っている。 「終わるまで待ってたでしょう。さ、早くいきましょ。予約に遅れてしまうわ。デザートも足していい?」 「もちろん。愛する妻のためにいつものデザートは頼んでるけど。種類が増えてたらもうひとつ頼んでいいよ」 仲が良い。本当に仲がよい。 「あ、リーゼ嬢、団長よろしくね。」
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