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3
医務室の前には腕組みをしたカトリーヌ。
その前で息を整えて、入ろうとしたカインを彼女は睨んだ。
走ってきたため髪もボサボサ、ローブもずり落ちている。
「リーゼが、倒れたと聞いて……」
「ええ、大丈夫です。今は横になっています。疲労だそうです」
「そうか、良かった」
「ぜんっぜん、良くないです!私はリーゼの先輩として、あの子が無理をしてまであなたと結婚することに賛成できません」
「え」
「魔力が多かろうと、団長だろうと、それがなんだって言うのよ。侍女だって大変なのよ。誰にでもできる仕事じゃないのよ。リーゼは皆に好かれているし、まだまだこれからってとこなのにアンタなんかを好きになったせいで」
他の侍女がカトリーヌの口を押さえる。
「すみません、団長様!カトリーヌはリーゼを心配して、つい」
追いかけてきたセルジオも間に入った。
「いえ、そちらの侍女さんのおっしゃることもわかります。うちの団長が感情だけで突っ走りましたから。
私の妻も元侍女でした。仕事の面で無理のないように婚姻を二年待ちました。これから細かいことまでリーゼ嬢に寄り添って話し合わないといけないのに、うちの上司がポンコツですみません」
そう言いながらカインの頭をググククグッと下げさせた。
「あら、奥さまも……」
「はい」
その間も、リーゼに会いたい会いたいと騒ぐカインの首や関節に肘をキメている。
セルジオは魔力の量は特別多くないが、魔力を体に巡らすのが得意で、他人のどこを押さえれば痛いとか魔力が滞るとかがわかるのだ。
今は軽い痺れをカインに与えている。
にこにこと笑いながら。
彼は部下に
「獣使い」とか「腹黒副官」と呼ばれている
「あなたのような方が団長を抑えて下さるなら、リーゼも大丈夫でしょうね。
リーゼも会いたいでしょうし。」
カトリーヌは、そっとドアを開けた。
リーゼは医務官と会話をしているようだった。
「リーゼ!」
カインが走り寄った。
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