Fight4 僕にはチャンス、くれないのか?

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そうこうしている内に、加藤さんには私の……加藤さんの住処とは比べ物にならない、オートロックもないアパートの前まで連れてきてもらった。 ここは、大学時代から住んでいるところ。 家賃は、駅前のマンションより2万は安い。 さらに、治安は比較的良い地域なのと、大家さんがとても良い人ということもあったので、節約もかねてこの物件を選んだのだ。 加藤さんは、怪訝な顔で私のアパートの外観を見ているが、私にとっては一人暮らしを始めてからのかけがえのない、私という人間を作る為に必要不可欠な環境だったりする。 部屋の中も、自分が過ごしやすいようにカスタマイズしまくっているので、ここ以上に心地いい場所なんて、そうそう見つからないのだ。 だけど……。 「あの……加藤さん……?ここのアパートの前にこの高級車は目立っちゃうんで……そろそろお帰りいただいた方が……」 私がそう言うと、ぎろりと睨まれる。 これは、あれだろうか。 「あのぉ……さすがに家は散らかってるので……」 特に今日なんて、昨日出社する前に洗濯して干したショーツが葡萄の実のようにぶら下がっている。 何が悲しくて、そんな部屋に上司を迎え入れなければならないのか……。 「僕が、体調不良者の家にのこのこ転がり込む、不埒な人間だと思うの?」 「いえ、滅相もございません」 良かった。 そう言うつもりでは、なかったのか。 ん?じゃあどうしてじっとアパートなんか見てるんだろう……。 「あの……それじゃあ私はここで……」 「ねえ、高井さん。朝食は何派?」 「……は?」 「ちなみに僕は洋食派」 「……私は……シリアルと豆乳です」 「ふーん。わかった」 わかった? 「何号室?」 「201です」 反射的に答えてしまった。 「わかった。じゃあ、家帰ったら一旦パジャマにでも着替えておいて。風呂には入らないでね」 「ど、どういうことですか?」 「20分間で、着替えくらいはできるでしょう?じゃ」 そう言うと加藤さんは、さっさと運転席に乗って今来た道を戻ってしまっった。 「何だったんだ……?」 とりあえず、人に見られても良いようにパジャマがわりに使用しているワンピースを着用し、ついでにショーツの葡萄は片付けておいた。 すると、まさに20分きっかりにチャイムが鳴った。 その相手は加藤さんだった。 「食料調達してきてあげたから」 「あ、ありがとうございます……」 袋の中には、美味しそうな菓子パンやシリアル、女性が好きそうな色とりどりの野菜の惣菜が入っていた。 「あの、加藤さん……中……入りますか?」 今はショーツの葡萄はないし、他見られて困るものはない。 掃除機かけてないから埃っぽいところくらいか……。 「いや、いい」 即答で断られた。 「あ、そうですか……」 これで、話を終わらせるのが普通だろう。 でも、加藤さんはじっと黙ったままだ。 「あの……加藤さん?話があるのでしたら……」 すると。 「昨日は……ごめん」 「……え?」 加藤さんが、いきなり頭を下げてきた。
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