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「何、その面白すぎる顔」
「そんなに面白い顔……してる?」
「このままtiktokあたりに投稿したら、バズるくらいには」
「そんなバズり方は死んでもごめんだ」
私は、一瞬悩んだ。
加藤さんが、私のことをす、すすすすす…………かも的なことを言って、河西君に馬鹿にされないだろうか……と。
でも
「あーもしかして、加藤さんに告られた?」
「っ!!?」
河西君からまさかのピンポイントすぎる指摘。
「あー……これはそうか。当たっちゃったか」
「いや、当たっちゃったとか……普通ここで、冗談冗談とか……言うところじゃないの?」
「でも高井さんのその表情とか態度見てると……図星なんだろ」
「……何で……河西君……と言うか、何を……知って……?え?」
混乱しか、ない。
加藤さんが、私のことをす…………かもなこととか、どうして河西君が知っているのだろう。
加藤さん、まさか河西君にバラしたりとか。
…………するはずないか。
「落ち着け高井さんー。はい、深呼吸。すってーはいてーひっひっふー」
「最後違う」
「ははは」
「…………河西君…………加藤さんから……何か聞いてたの?」
「あの人が俺にそんなプライベートなこと話すように見える?」
「あーないですね」
「しかも俺、わかりやすく牽制されてたんだぞ。完全に敵認定。……高井さんのせいでな」
ん?
私のせいで敵認定?
なんだ、それは。
「で?」
「ん?」
「どうすんの?」
「どうすんのって……?」
「付き合うの?加藤さんと」
「は!?」
「言われたんだろ?好きって」
「あーわーえーと」
私は三次元の男から好きという言葉を聞くのがむず痒くて、耳に手を当てて、わざと声を出して聞こえないようにした。
「何だそれ。面白いことしてんな」
「笑い事じゃない!」
仕事中は……加藤さんと2人きりでいることは普通にできる。
YAIDAの案件については特にオフレコなことが多すぎる分、2人で会議室にこもってミーティングをする頻度も増えたが、その時は加藤さんと一緒にいても、全く問題はない。
だけど、プライベートに変わった瞬間、本当〜に困ってしまっていた。
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