Last Fight 君の犠牲の上での成果なんて、何の意味もない

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はぁ……。 今日も疲れた……。 しんどい……。 しんどすぎる……。 YAIDAの件もそうだが、ぽんぽこなど他の企業の仕事も同時にこなさないといけないが山ほど。 それに今日は特に、河西君から変なことを言われてしまい、精神的にも参った。 まさか私が、三次元の男にプロポーズというものをされるとは、夢にも思わない。 まして。 化粧直しもできないほど多忙ゆえに、眉毛が落ちて、口紅もほとんど取れている、女としては残念すぎる顔になっている時に。 でも。 逆に言えば、そういう時の私を気に入ってくれているのであれば……。 恋愛感情はないとは、言っていたけれど……。 河西君だったらまあ、一緒にいてストレスはないのかもなぁ……。 そんなことをぼけっと考えながら、エレベーターが来るのを待っている時だった。 「ねえ」 背後から、よく知っている人の声。 振り返るのが、若干怖いテンションであることもよく分かる人。 よりによって、何でこのタイミングで……。 「加藤さん、こんな時間まで……お仕事だったんですね……ははは」 「……君こそ」 「あーはは。もう少し早く帰りたかったんですけどね……」 私は、ちらと非常階段の方を見る。 何となく、今ここで2人きりになるのは避けたい。 「あー私ー……ダイエット中なの思い出したので、階段で降りますね」 私は逃げるように、階段へと走った。 トントンと、階段を降りる音が響く。 って……あれ? 私の足音だけじゃ……ない!? 振り返ると、加藤さんが私の後を追いかけていた……!? な、何で……!? 私はただ走るだけではなく、ジャンプを取り入れながら走った。 早く、早く、早くと念じながら。 ところが、足元はスニーカーではなく普通の5cmヒール。 そんな靴で、無茶な走り方をすると……。 「きゃっ!?」 私はバランスを崩してしまい、階段から落ちそうになる。 まずい!踊り場にぶつかる! せめて顔だけでも守ろうと、身構えた。 ぎゅっと目を瞑った。 …………あれ? 痛く……ない? それどころか、何だか、柔らかいし温かい。 そして嗅ぎ覚えがある、あのミントの香り。 「ったた……」 一体どんな手法を使ったのか。 私の体の下には、加藤さんがいて、私の体を受け止めていた。 「きゃっ!!」 私は急いで加藤さんの体から離れようとしたが 「逃がさない」 と、加藤さんは私の手首を掴み、そのまま、私を踊り場の床へと押し倒した。
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