夏休みのはじまり

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夏休みのはじまり

 何かが割れる音。  ガチャーン。  その音で僕は目覚める。  いつもなら学校に行くのがめんどうで、もう少し寝ていたいと思うのだけれど、今日は素早くベッドから起きることができた。  階段を降り、朝ご飯を食べるために食卓へ行く。  お母さんがテーブルの横でしゃがんで何かを拾っているのが見えた。  僕に気が付いたお母さんが、あら、と言って驚く。 「ゴウ。今日は目覚めがいいんだね」 「まあね」 「あっ、気を付けて。コップ落としちゃったから。破片(はへん)がまだ落ちてるかも」  そう言って立ち上がったお母さんだけれど、すぐにまたしゃがんで「動かないで」と大きな声。  僕の足元に破片が落ちていた。  それをお母さんは拾い上げる。  僕はもしかしたらまだ落ちているかも、と思いつま先立ちで歩き、テーブルへ向かう。  テーブルにはすでにパンと目玉焼きとソーセージがのったお皿がある。  その横にはココアの入ったコップ。  僕はそれらを飲み食いしながら、テレビを点けた。 『今日の占いです』  テレビキャスターの人がそう言って、星座占いを発表する。
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