6人が本棚に入れています
本棚に追加
僕はラッキーにも挨拶をしようと、いつもラッキーがいる庭の方に目を向ける。
しかし、そこにラッキーの姿はなかった。
小屋と首輪だけが残されている。
「ラッキーはどうしたんですか?」
僕がそう質問すると、中山さんは悲しい顔をした。
「実は、ラッキー昨日逃げ出しちゃったのよ」
僕は驚いて、ラッキーの小屋と中山さんの顔を何度も往復しながら見た。
「きっと今頃お腹を空かせているかも」
「そうなんですね。けど、すぐにラッキー帰って来ますよ」
悲しい顔の中山さんに僕はそう言った。
中山さんの顔が少しだけ明るくなり、「ありがとう」と言った。
僕は中山さんに「いってきます」と言って、元のかけ足になった。
僕の名前は、浅見郷。
小学4年生だ。みんなからは、ゴウって呼ばれてる。
僕がこんなにもワクワクしているのにはわけがあるんだ。
それは、今日が7月26日だからだ。
何も知らない人にとってみたら、そんなの普通の日じゃんと思うかもしれない。
確かに今日は普通の日だ。
しかし僕にとって、いや、世の中の学生にとって今日はとても特別な日なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!