夏休みのはじまり

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 僕はラッキーにも挨拶をしようと、いつもラッキーがいる庭の方に目を向ける。  しかし、そこにラッキーの姿はなかった。  小屋と首輪だけが残されている。 「ラッキーはどうしたんですか?」  僕がそう質問すると、中山さんは悲しい顔をした。 「実は、ラッキー昨日逃げ出しちゃったのよ」  僕は驚いて、ラッキーの小屋と中山さんの顔を何度も往復しながら見た。 「きっと今頃お腹を空かせているかも」 「そうなんですね。けど、すぐにラッキー帰って来ますよ」  悲しい顔の中山さんに僕はそう言った。  中山さんの顔が少しだけ明るくなり、「ありがとう」と言った。  僕は中山さんに「いってきます」と言って、元のかけ足になった。  僕の名前は、浅見郷(あさみごう)。  小学4年生だ。みんなからは、ゴウって呼ばれてる。  僕がこんなにもワクワクしているのにはわけがあるんだ。  それは、今日が7月26日だからだ。  何も知らない人にとってみたら、そんなの普通の日じゃんと思うかもしれない。  確かに今日は普通の日だ。  しかし僕にとって、いや、世の中の学生にとって今日はとても特別な日なのだ。
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