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「え? なんで?」
お父さんは寂しそうな顔をした。
「お父さんは、お母さんがいなくなって、サヤカと二人になって、やっと家族の大切さを知ったんだよ。これからは仕事よりも家族を大事にしたい」
お父さんが必死に訴えかけてきた。その様子を見てお母さんも私に「許してあげたら?」と言いたげな困った顔を見せた。しかし私の考えは変わらなかった。
「いや、お父さんはもっとロボットの勉強をして、お母さんを、海水ぐらいではビクともしない完璧なロボットに仕上げてください」
私の言葉を聞いて、お母さんがクスッと笑った。
「そうだな」
お父さんもフッと笑った。
「それができたら三人で海水浴行きたいな」
私はおねだりするようにお母さんの顔を見つめた。お母さんは微笑みを返してくれた。そして私の頭を優しく撫でてくれた。
「よし、じゃあ、お父さん頑張ってお母さんを完璧防水ボディに改造するよ」
お父さんはやる気スイッチ入りましたと腕をまくった。
「あ、あと、もうひとつ」
「ん?」
私はお母さんから離れると、お父さんの目の前に立った。そして、さっき気になったことを、お父さんに尋ねた。
「単一電池一本で動くロボットって、本当にそれでいいと思っているわけ?」
おわり
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