想い出コロコロ

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「それでも私はサヤカのお母さんよ」  お母さんロボットが、あのいつも見ていたやわらかい温かな笑顔を浮かべた。 「うん」  私は頷いて、もう一度お母さんの胸に顔を埋めた。温かい。胸がやわらかい。 「本当にロボット?」  お父さんが抱き合う私たちに近づいてきて、お母さんの肩を抱いた。 「お父さんは世界で一番すごいロボット博士なんだよ」  お父さんが胸を張った。そしてその直後、張った胸をしぼませた。 「いや、ロボット博士『だった』か」  お父さんは気まずい感じで頬っぺたを人差し指でポリポリかいた。  私はお母さんとの抱擁を解くと、右腕でお母さんと肩を組んだ。そして空いた左腕をお父さんの肩にまわした。お父さんも私と肩を組んで、三人で抱擁し合うみたいになった。 「お父さんはこのままロボット博士辞めちゃうの?」  私はお父さんの顔を覗き込んだ。 「一応、お母さんの修理に集中したいから辞めたんだけど、このまま家族との時間を大切にするのも悪くない」  と言って、お父さんは私の肩にまわした腕にチカラを込めた。  私はそれに対抗して身をよじった。そしてお母さんと肩を組んだままお父さんから離れた。お父さん一人に私とお母さんが相対するようになった。 「お父さんはロボット博士に戻りなさい!」  私はお父さんを指差し、強い口調で命令した。
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