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7 戦い終わって日が暮れて
パパが目覚めた時には、演武会も閉会式も全部終わっていた。パパは、救護室のベットで寝ていたんだ。
「パパ、ごめんなさい。痛かった? 」
「ああ、亜樹。うん。痛かったよ。天国が少し見えた」
「あなたったら。亜樹ちゃん、パパは大丈夫よ。つまらない冗談が言えるようになったんだから」
ママが私の肩を両手で包んで言ってくれた。
「いやあ、ほんとに素晴らしい演武でした。私には、他流派の演武がかすんで見えましたよ。本当の真剣勝負でした。お父さんも、亜樹ちゃんも素晴らしかった」
千春先生が言った。少し目を潤ませていた。
「それでね、パパ、大会の優勝はできなかったけど、特別賞をもらったよ」
「ええ。審判の先生方もいたく感動されて、急遽特別賞ができて表彰されましたよ」
「そうですか。……いや褒賞なんてどうでもいいです。亜樹。よくあの状況でパパから自分の身を守ったな。パパはそれが最高にうれしいよ。亜樹が、高校生からいじめれていた中学生を見た時、助けに行ったことがあったよね。あの時からパパは、亜樹が誇らしかった。それに変な言い方だけど亜樹のようになりたかった。いい先生にも出会えてよかった。これからも精進して、亜樹のような強さをもてるようになるよ。ありがとう亜樹」
「何言ってるの。パパは始めから十分強いよ! パパ大好き! 」
私は、ベッドのパパに飛びついた。私が、強気でいられるのはパパがいるからなんだよ。
「パパ、ずっと大好きだからね! 」
終わり
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