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半月前のことだった。
雨の降る昼休み、カイトは会社を出て弁当を買いに行こうとすると、スマホに着信が残されていることに気がついた。
5年間付き合っている、恋人の石山コノミの母親からだった。
すぐに折り返すと、呼び出し音がしばらく鳴り、深呼吸のようなため息のような深い吐息が聞こえてきた。
「…カイちゃん?今大丈夫?」
いつもパワフルなコノミの母にしては、妙に静かで改まっていた。
「はい。お電話すみません。仕事中で出られなくて…。」
またしても、コノミの母のため息が聞こえ、ほんの少しの沈黙があった。
「…カイちゃん、よく聞いてね。…あのね、コノミ、昨日亡くなりました。」
「…え…?」
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