第1章:第1話

4/4
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
半月前のことだった。 雨の降る昼休み、カイトは会社を出て弁当を買いに行こうとすると、スマホに着信が残されていることに気がついた。 5年間付き合っている、恋人の石山コノミの母親からだった。 すぐに折り返すと、呼び出し音がしばらく鳴り、深呼吸のようなため息のような深い吐息が聞こえてきた。 「…カイちゃん?今大丈夫?」 いつもパワフルなコノミの母にしては、妙に静かで改まっていた。 「はい。お電話すみません。仕事中で出られなくて…。」 またしても、コノミの母のため息が聞こえ、ほんの少しの沈黙があった。 「…カイちゃん、よく聞いてね。…あのね、コノミ、昨日亡くなりました。」 「…え…?」
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!