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第2話
諭すようにゆっくりと、コノミの母は言った。
「もう何日も意識がなくてね、一昨日くらいに熱も下がってちょっと良くなったんだけど、でも…、それから急変して…。」
それからコノミの母は、これまでのことや葬儀のことなど話していたものの、カイトの耳に入ってもそのまま流れて行ってしまった。
「ごめんね、ちゃんと連絡できなくて。家族以外の面会もできなかったから…。良くなったらカイちゃんに一番に知らせるつもりだったのに…。」
電話の向こうでは、鼻をすする音が微かに聞こえ、気丈に振る舞っているのがよく分かった。
10分ほど話しただろうか。
電話を切っても、カイトは何も理解できなかった。
事実を受け止めることを、心と身体が全力で拒絶していたようだった。
しかし頭のどこかでは認識していたようで、携帯を持ったまま膝から崩れ落ち、蹲って声を上げ泣いた。
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