守るべきもの

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「馬鹿。なんでアンタは変わっちゃったのよ……?」 それが母親から父親への最後の言葉だった事を今でも覚えている。 母親も父親が何故変わってしまったのか分からないままだったようだ。 妹は泣いていたけど俺と母親は泣かなかった。 やっと父親から解放された安堵感の方が勝っていた。 俺は中学生から新聞配達を始めた。 俺達兄妹を守ってくれた母親を少しでも助けたかったから。 最初こそ反対していた母親だったけれど俺が言う事を聞かないと知り「無理しないでね」と心配するばかりだった。 ずっと女手一つで育ててくれた母親。 優しい母親を見ていたからなのか、妹も優しい女の子に育っていた。 俺は父親を反面教師にして母親の助けになれるよう努力していた。 そんなある日。 俺の職場に1本の電話が入り、俺は慌てて市立病院に駆け込んだ。 母親が倒れたと言う連絡だった。 妹にも連絡が入っていたようでバイトを途中で抜けて来たようだ。
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