守るべきもの

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告げられた病名は『心不全』 症状が非常に悪く心臓移植が必要かもしれないと言われた。 母が入院してから数ヶ月後。 やはり移植をしなければらない状態だと担当医に言われドナーを探す事に。 時間は掛かったがドナーが見付かり心臓移植の手術をする事に。 莫大なお金が掛かると知り尾田に話すと何故か喜んで貸してくれた。 手術室に入る母親を見送りながら俺と妹は不安が募っていた。 「お兄ちゃん、大丈夫だよね?」 「あぁ、母ちゃんなら絶対大丈夫だ」 まるで自分に言い聞かせるように妹に答えた。 手術は何十時間にも及んだ。 結果、母親は無事に手術成功。 俺も妹も一安心した。 けれどこれからどうなるか……。 移植された心臓と母親が拒否反応を起こせば命取りになる。 経過観察の為、俺は毎日母親の元へ通った。 あんなクソ親父のように失いたくはない。 「母ちゃん……俺達諦めずに待ってるから、母ちゃんも諦めんなよ!」 握っていた手に僅かに力が込められたような気がした。 俺は母親と妹の為なら何でもすると決めたんだ。 だから移植や入院費用も借金してまで借りて、仕事も親父とは違い必死に頑張って……これで母親を亡くしたら、俺の恩返しはまだ道半ばなのに。 俺だけが不幸と言う訳じゃない事ぐらい知っている。 世の中には、もっと不幸な人だっている。 でも、頼むから母親だけは連れて行かないでくれ……。
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