「自由を教えてくれた人達」

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 僕にはお母さんが居ない。  離婚や死別したわけでなく、本当に居ないのだ。  だって僕の両親はどちらも「男」なのだから。  その事実を知られて、同級生に何となく遠巻きにされたりしたこともあった。  どの子も大抵が、親に言われて距離を置いていたように思う。同級生は驚きはするものの、案外そこまで興味を持たなかったから。  告げたその場では何も変わらなかったのに、翌日になって登校すると態度が一変しているという事は幾度かあった。  何でどっちともお父さんなの?と聞かれても「僕を孤児院から連れ出してくれたのが、彼らだったから」としか言いようがない。  逆に、何で貴方の親は男と女なの?と聞いたら皆は答えられるだろうか。そんな質問をされても、そういうものだから、としか言えないんじゃないかな。  そりゃあ、僕も本やドラマで見たパパとママという家族の形をよく目にしていたから、最初は驚いた。  院の先生が説明をして会わせてくれたのがどちらもパパだったということ。  だけど僕は、逆に興味が湧いてしまったのだ。
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