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院の子供達は皆物分かりのいい──あるいは諦めのついたふりをしていて、どこかピリピリとした空気が漂っていた。
時折人恋しくて泣く子がいれば、複数人で慰めはするけれど、かける言葉は「仕方ない」「大丈夫だから」というものが多かった。
僕はなんとなく、仕方ないと呑み込むのが嫌で、声をかける事も出来ずいつも遠巻きに眺めていた。
同じように遠くから眺めている子は何人かいたけれど、それはきっと冷めているとかじゃなくて、何をしてあげるべきか分からなかったんだと思う。僕と一緒で。
仲間に寄り添う優しさも持てず、どうしたらいいのか途方にくれていたんだ。
多分、言葉や人の温もりによって得られる安堵を知らなかったからじゃないかと、今なら分かる。
そんな光景を眺めながら、あぁ僕は一人なんだなという事を、なぜかより強く実感した。
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