出会い

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「おい、2年。ドリンク持ってこい!」 いつものように先輩が僕にだけ雑用を押し付ける。 「でもそれはマネージャーがやる仕…」 「レギュラーになりたかったら早く持ってこいよ、コラ!」 「…分かりました。」 毎日のようにパシりに使われている僕を見ても、先輩や後輩、顧問すら手を差しのべてくれることはなかった。 休み時間。本当に中学2年生の教室かというほどうるさい教室。 「パリーン」 ガラスが割れる音がした。恐らく窓ガラスが割れたのだろう。 「おい、水澤、牧野何やってんだよ笑」 クラスのリーダー的存在、水澤と牧野が教室の窓を割ったそうだ。 「わりぃ~わりぃ~笑まぁ窓割れたぐら…」 水澤が反省1つしていない態度を見せていた。 「!お、おい田口が来たぞ!」 クラスメイトの誰かが叫んだ。 ガラガラとドアが開いた先にいたのは、この中学で最も嫌われている、ここ2-1の担任の田口だ。 鼓膜が破れそうなほどうるさかった教室が一瞬で静まり返る。 「おい、これはどういうことだ!」 教室でキャッチボールをしていた水澤と牧野が割ったんだ。 僕には関係ない。 担任への関係ないですよアピールで特に興味のない小説をパラパラとめくっていた。 すると、僕の先ほどにみた光景とまったく違うことをクラスの誰かがギリギリ教室全体に聞こえる声で言った。 「ユウタさんがやりました。」 「は?」 僕は一瞬頭がこんがらがった。 ユウタという名前は水澤でも牧野でもなく僕の名前だ。 でも、きっと他のみんなが本当のことを… 「ユウタさんが割ったんですよ。せんせぇーい」 「ユウタさんがボールを投げて割ったんです」 僕の頭の中で「ユウタさんが」という声が木霊する。 僕はやっていない!でも言い返すことは出来ない。 水澤と牧野は勉強も出来て、スポーツも出来てイケメン。 僕と全くの反対。 なのにどうして教室内でキャッチボールをしたら、人にボールが当たったり、窓を割るということに頭を使えなかったのだろうか。 そう思っていると目の前にあいつが来た。 「お前がやったのか!?」 本当ならここで事実を話すべき。 しかし、この状況で事実をいったとしても事実がひっくり返ることはないだろう。 「僕がやりました…」 「おい、校長室いくぞ!」 校長室て行く僕と田口を止めるものは誰もいなかった。 家に帰り、かれこれ2、3時間もの説教だ。 もうすぐ21時になるというのに、宿題も学校から出された反省文も手をつけていない。 あの時僕は割っていないと答えれば良かった。 あぁ、早く楽になりたい。 周りの人間みんないなくなればいいのに。 気づいたときには居酒屋やバーなどが立ち並ぶ通りを一本入った道へいた。 「ここなら、人の目につかず一晩は休めるか」 安心しきった僕へ誰かが声をかけた。 「ぼっちゃん、そこの制服姿のぼっちゃん!」 もう21時過ぎ。しかも大人しか来ないようなここへ学生服の男子がいるのはきっと自分だけだ。 そう思って振り返ってみると、厚化粧で露出度が高い服をきた同性愛者と見られる人がいた。 「ぼっちゃん、どうしたの?」 「いや、別に何も」というのが普通だろうが、学生が夜にこんなところにいて理由がないわけがない。 だから、今日あったことも含め、愚痴という愚痴をすべて吐き出した。 他の人へは絶対に言えないこともこの人の前なら全て話すことができた。 「へぇ~面白いわね、あなた。その人たちを殺したいな~って、思ったこととかある?」 「えっ…」 「大丈夫、正直にいってごらん♡」 「正直いって、みんな殺したいです。死んで欲しいっていうより、自分の手をで…殺したい!」 「やっぱ、その感じ超いいね」 「?」 「いまから、ぼっちゃん今の人生を変えることが出来る場所に行くけど、ついてくる?」 人生を変える場所。 どこに行くとも言っていないが、ここで一歩踏み出せば何かが変わると思った。 「はい、行きます」
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