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 血に砂金が混じっている女から砂金を採取すること――。それが彼らの家業だ。だが、それだけではない。子を産ませ、子が産めなくなると臓器を取る。  とくに子宮には砂金がたっぷり詰まっているらしい。そこから子に遺伝するのだろうと言われている。だから女性が重宝されているのだ。  だが男が産まれても損はない。男性の場合、血液にはほとんど含まれていない代わりに胆のうには金の塊が詰まっている。生産性は無くても実りが大きく、すぐに採取せずに天命をまっとうさせる代わりに従業員として使う。  逃げ出してもやすやすと普通の暮らしができぬよう、出生届も出さないと言う。その方がこうした汚れ仕事をさせるのに都合がいい――。 「なぁ、兄弟」  彼はそう言って、母を羽交い絞めにしている男に顎を向けた。 「こいつは、親父に生産(・・)されたんだ。正妻の子は俺一人。『血の砂金』をこの目で見たって言っただろ? 母親の血だよ。俺の目の前で血を流して死んだ。母親はあんな親父でも愛していたらしく、よそでつぎつぎ子供を作るのに耐えられなかったって、どこかで聞いたよ。」  けっして数多くはないが、かつて金鉱山があった土地には地元の名士といわれながら秘密裡に『血の砂金』を採る一族は各地に散らばっているらしい。  田舎という閉鎖的なコミュニティを利用しながら、世間に知られることなく何代にも渡り受け継がれているのだ。   「君のことは気に入ってるんだ。二年間付き合ってる間、わりと居心地が良かったよ。大人しく家に入ってくれれば、体に傷はつけない。子供だけ産んでもらうことにするよ。俺の母親のように面倒をかけなければね」
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