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 私は母の肌を初めて見た。  体中を走る無数の傷がケロイドになっている。その酷い傷痕は母が砂金のために受けた仕打ちを物語っていた。  だから、あんなにも私を……。  ああ! お母さん……!   ドッと鈍い音がした。男が体当たりするように母の脇腹に刃をうずめた音だ。   ううっ、と小さなうめき声と共に崩れ、動かなくなった母の身体からみるみる濃厚な赤色が広がる。玄関のたたきに溜っていく赤にはちらちらと上品な輝きを放つ、小さな小さな金の粒が無数に混じっていたのだった。  私は母の話を信じていなかった。  私は今、それをとても後悔している。  了
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