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♯2 クッキー様ァ〜✨😜✨💕
「クッキー様ァァ〜!!」
私は彼にダイブするように飛びついた。
「フフッ」
彼は少し苦笑いを浮かべ私を優しく受けとめた。
九鬼神 天真と言う珍しい名前の美少年だ。
苗字が九鬼神なので私は恋慕を込めて、『クッキー様』と呼んでいた。
柔らかな胸の膨らみが彼の胸板へ押しつけられる。今にも心臓の高鳴りが伝わってきそうだ。
少し恥ずかしいが、そんなことを言っていたら他の彼女たちに先を越されてしまう。
彼は百八十センチほどあるので、小柄な私よりも頭ひとつ以上も大きい。
「ミ、ミオさん」
彼は困惑気味に苦笑いを浮かべた。幸か不幸か、クッキー様は女性に免疫がないらしい。
もちろん私に取ってはラッキーだ。
クッキー様は超の付くイケメンなのだが、人見知りなので未だにフリーだと言う。
セレブで美少年、しかもインテリで高学歴、さらにモデルのような体型で運動神経も抜群だ。
誰もが羨むようなビジュアル。
しかも笑顔が素敵で、優しくて料理も上手い。
何ひとつ申し分のない高スペック美少年だ。なぜ彼女がいないのか不思議で仕方がない。
もちろんBLと言うわけではない。
彼だって少なからず私に好意を抱いているはずだ。
好都合な事に現在、私もフリーなので猛アタックを仕掛けている最中だ。
こんな高物件、指を咥えてヨソ様へ譲るワケにはいかない。
積極的にアピールして、今のウチに婚約をつけておかないと。
生まれて初めての熱烈な恋だ。
夢にまで探した求めた王子様が目の前にいるのだ。
「イヤァ〜ン! クッキー様ッたらミオッて呼び捨てにして下さい」
思いっきり私は甘えてみせた。
同性に嫌われようと構うものか。
彼のハートをゲット出来れば他に何もいらない。
生命がけで彼をゲットしないと、いつか必ず後悔するだろう。
「あッあのですね。ミオさん!!
人前で、クッキー様と言うのは恥ずかしいので、やめてもらえますか。頼みますよ」
また彼は困ったように苦笑した。
はにかんだ顔も可愛らしい。
「だって、九鬼神天真なんてどっかの教祖様みたいじゃン!!」
こんなイケメン教祖がいたら、ヤバいくらい女の子たちが集まりそうだ。
すでに私も入会済みだ。
私の名前は石動ミオ。
通称『カマ女』と言われる名門、鎌倉女子学園の女子生徒だ。
ワケ有って現在は九鬼神家にご厄介になっている。
「そんな事よりもクッキー様!!
事件です!!」
さっそく本題だ。
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