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最上が肩を揺らして笑う。
ちらりと添えつけのテーブルを見れば、几帳面に畳んである自分のワイシャツとズボンとパンツを見て、なんだかどうでもよくなってしまった。
髪をかきあげながら俺は頭を下げた。
「俺こそ迷惑かけてすみませんでした。正体なくす位飲むんじゃ、社会人として失格です」
「そんなことはないさ、たまにはいい」
「はあ」
「随分嫌なことがあったようだ」
「はい」
「会社辞める気はないのか」
「ないですよ。まだ。折角ここまで続いたんだから」
「そうか、だったら頑張るしかないよな」
「はい」
はい、と言った瞬間すっきりとした。そうか、俺はやるしかねえんだ。
みんな先に行っちゃう、要領のいいやつに馬鹿にされる、自分だけが貧乏くじを引く、それでもやるしかねえんだって、誰かに言ってもらいたかったのかもしれない。
最上は頷いて笑った。厚い唇にペットボトルを乗せて水を飲む。
アレが。あの唇が俺のモノをくわえていたんだ、そう思うと一気に昂ぶった。
あわてて前を隠すと、それに気づいた最上が困ったように笑う。
「おい、お前やめてくれよ。なにを滾らせて」
「すんません、なんかちょっと想像しちゃって」
「参っちゃうよな、俺がなんとかしてやろうかって言いにくいしな。お前女がいいんだろ」
「女がいいです!」
「うーん、風俗にでもいくか?」
「でも、なんか、その、最上さんでも、いや、その」
「…いいのか」
「あ、でもケツとか嫌です」
「はは、解ってるよ。じゃあ目ェ瞑れよ。おったてているだけでいいよ。すぐに終わるからさ」
最上がなんでもないように言うから、俺はつい、その気になってしまった。
……なんだか女になったようだった。
俺は愛撫されるマグロ。
手でこねくりまわされ、唇でねぶられる。
その一々の仕草が目を閉じていても解る。えろい。ハア、と低い吐息と最上の体臭が生々しい。
「すぐ、終わるから」
何故か最上が俺の上にのしかかってきた。ぎょっとして目を開けると今度は最上が目をきつく目を瞑っていた。
そして、自分の後ろを解していたのだ。
俺のモノの上で大振りの腰が揺れる。
相手の下の毛と、それに埋もれない大きなモノ。
そしてゆっくりと腰がおろされる。温かい人間の内部を感じて俺はつい声を上げて感じてしまった。
「やばい、やばいです、これ……あんたの中熱くて…すぐイキそう…!」
「あ、あ、久しぶりだ、若い兄ちゃんのが当たってる。…ごめんなマコト、こんな、おやじが相手で」
最上が目を開けて謝る。
謝らなくてもいいのに。そりゃあこんな事普通だったら死んでもごめんだけれど、今はいいと言ったのに。
泣きそうな顔で謝る最上こそ本当は何か嫌なことがあったのではないのか。
(マコト、歯ァ食いしばれよ。男は我慢しなきゃならねえ。男だからな、いいか男だからだぞ)
(理由になってねえよお)
(それが理由だ)
うっすらと覚えている会話を思い出した。
平気な顔をしているけれど、いつも歯を食いしばって耐えているのは、あんたじゃないのか。
そう思った瞬間、腰が動いた。あ、と驚いた顔をしている最上を無視して起き上がって押し倒した。
男の手順なんか解らなかった。だが挿入っているのだ。
後は楽しめばいい。最上の腰をしっかりと抱いた。
そしてこの人を気持ちよくしよう、そういう意志で腰を動かした。
突く、巨体が大袈裟に跳ねる。唇を噛み締める。やめてくれ、こんなことは。か細く訴える声を無視する。
激しくしてやる、声を聞きたいキスしたい、本当は嫌でしょうがない、男とシたくなんてないのに、気持ち良すぎて腰が止まらない。
最上が絶頂を迎えるまで俺は必死で奉仕をした。
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