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#2 大空side
やばい。可愛すぎる。
そんな僕の焦りを無視して彼女は無邪気に笑っていた。
「美奈穂––––」
我慢しきれなくなり小さく呟いてみた。
「好きなの?」
この声は––––隼人 だ。
困った時は相談に乗ってくれる、とっても優しい奴だ。
そして後輩の詩子ちゃんと付き合っている。
羨ましいなぁというのが正直な感想。
「好きなの?」
「しつこい。」
「好きなんだ。うん、お似合いだよ!」
「ちょっ!声でかいってば!」
聞かれてたらどうするんだよ!と心の中でキレながら質問を投げかける。
「隼人––––お前はさどうしたの?」
「なにが?」
すっとぼけんじゃねぇ!とまたも心の中でキレながら冷静な振りをする。
「詩子ちゃんとだよ!・・・ニヤニヤすんな。部活中だぞ〜。」
普段クールな分、こういうときのギャップが好きなんだと詩子ちゃんは言っていた。僕が女だったら惹かれていただろう。ってそういうのが言いたいんじゃないんだよ!もう、隼人を妄想モードに入れてしまった。
「どうかしたんですか?」
「っ!み、美奈穂ちゃん?」
いつ妄想から抜け出てきたんだよっ!と言いそうになってしまう。
しかし、大事な場面。隼人の小さい呟きをなんとか聞き取り実行に移してみる。
「こっ、今度遊ばない?」
「え?」
「嫌だったらいいんだよ、別に」
「ぜ、ぜんぜ––––」
「遊んであげてください!美奈穂、大空さんのこと–––っちょ、苦しい!」
「言っちゃダメ〜!!!」
途中で割り込んできたのは、え?誰?水泳部員じゃないんだけどw
「あ、すいません。松岡和と言います!美奈穂のお友達です!」
「あ、よろしくww」
えwもういないんだけどwレアキャラですかw
まぁ、遊べるんだしいいか!
「いつ遊ぶ?美奈穂ちゃんが空いてるときでいいよ?」
「いつでも空いてますっ!」
即答だなぁ。可愛いすぎかと思うんですけど?心臓もたないんですけど?
「じゃあ、今週の日曜はどう?」
「おっけーです!11:30に待ち合わせでどうですか?」
「そうだね、昼ごはん一緒に食べようか!じゃあ11:30にAEONで!」
こういう時にAEONしかないのが田舎の悪いところだ。
「ぁ__」
消え入りそうな声で何か聞いてくる。可愛すぎる。どうしたらいいんだよ!
「どうかした?」
「いや、もし何かあった時にどう連絡するのかな?って」
隼人の役に立つ呟き。頑張るんだ!僕!
「SNSやってる?」
「えっと–––TwitterとLINE、Instagramですかね?」
「どれか交換しようか。TwitterとInstagramは私生活とか色々あるからLINE交換する?」
うっわ。僕、よく言えたな。ちょっと動揺してる美奈穂ちゃん可愛い。
さっきから可愛いとしか思ってない僕、末期だわ。うん、相当やばいw
「LINE交換してもらえますか?」
「うん、いいよ!」
ついにきた!美奈穂ちゃんの連絡先!はぁ、毎日電話したい。
「TwitterのDMで送ってくんない?」
「はい。えっと、@––––––です。」
「わかった!DM解放しといて〜!」
こ、こんなにスムーズにいくなんて!
この時、誰かが見ているなど知る由もなかった–––
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