2.今にもその鋭い鎌の刃で

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2.今にもその鋭い鎌の刃で

 "砂漠の魔術師"が、素肌もあらわな露出の多い服装の美女とともに登場する。画面真ん中の台に美女を横たわらせた"砂漠の魔術師"は、なにやら不思議な呪文を唱える。  砂漠の夜と包む漆黒の闇を思わせる不思議な響きで、どこかしら不穏さも感じさせる呪文の響き。言うなれば、巨大な鎌を持った悪魔が闇の中に潜んでいて、今にもその鋭い鎌の刃で人間の首をすぱんと切り落としてしまうんじゃないかというような恐怖さえ与えるような不穏さ。  そうしているうちに、台の上に横たわった美女の身体がゆっくりと空中に浮かび上がる。"砂漠の魔術師"はさらに呪文を唱える。  不穏さを伴ったリズムに乗って絶え間なく言葉があふれ出し、その呪文を聞いている者の耳と脳に、奇妙に響く呪文が隙間なく一杯に詰め込んでしまいそうなほどだ。  やがて呪文のリズムと言葉が最高潮に達した瞬間、"砂漠の魔術師"は大きく不思議な言葉を叫ぶ。その言葉は古代からアフリカに伝わるのだろう。今まで聞いたこともない言語だからだ。  "砂漠の魔術師"が叫んだ瞬間、宙に浮いた美女の身体は真っ赤な炎に包まれる。炎は黒煙を上げながら、美女に代わって宙に浮いたまま燃え続ける。  そんな光景を見つめる"砂漠の魔術師"は炎に照らされ、顔も体も真っ赤に光る。狂気にも似た光が炎を反射する目に宿っている。この人、本当に危険なんじゃないか。そんなことさえ、動画を見る者に思わせる迫力を持った目だ。
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