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「莉子ちゃんは、私を守るために戦ってくれたんだね」
そう言うと莉子ちゃんはちょっと恥ずかしそうに笑って、また前を向いて歩き出した。
「しょせん、夢の話だけどね。昨日、あんなことがあったから、変な夢みたのかなあ。でも、朝目が覚めたら、なんだかすごく気分がさっぱりしてた。ママとパパのことでずっといらいらしてたけど、決まっちゃったものは仕方ないもんね」
「そうだね」
「ママがね」
「うん」
「今朝起きた時、ごめんね、って謝ったの。多分、あれ、離婚の事。ママも私に悪いって思ってるんだなあ、って思ったら、もうどうでもよくなっちゃった」
「うん。莉子ちゃんママ、莉子ちゃんのこと心配してたもん」
「そう思ってるんなら思ってるって、はっきり言えばいいのにね。わかりにくいのよ」
「きっと、大人にもいろんな事情があるんだよ」
「めんどくさいなあ、大人って」
「ねえ」
ふふ、と笑ったとき、後ろから明るい声が聞こえた。
「おはよう、美優ちゃん、莉子ちゃん」
ふりむくとそこにいたのは、なんと、ランドセルを背負った萌ちゃんだった。
「おはよう、萌」
驚いて声もでない私の代わりに、莉子ちゃんが挨拶を返す。
え? え? どういうこと?
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