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「ちょっと。まだ話してる途中じゃない」
「早く行かないと、時間なくなるんだよ。美優、さっさと保健室行けよ」
「あ、うん。ありがと。慎くんも、ありがと!」
慎くんは振り向いてにっこり笑うと、手を振りながら颯太に引きずられて行ってしまった。あとから安永さんたちもついていく。
「相変わらずもてるねえ、慎之介」
ゆっくり歩く私に合わせてくれながら、莉子ちゃんが笑った。
「慎君に迷惑かけちゃったかな、私。なんか勉強する約束あったみたいだし」
「ないない。あったら、慎之介が言うでしょう。約束を忘れるようなやつじゃないし」
「そっか」
話しながら歩きはじめたら、だんだんと足がズキズキ痛み出して考えがまとまらなくなってきた。
「足、やっぱり痛くなってきたかも……」
萌ちゃんが、支えるように私の腕をつかんでくれる。
「すり傷だから痛むのよね。早く保健室行きましょう」
冷たい風が吹く中、私たちは急いで保健室へとむかった。
☆
ひざの手当てをしてもらってから教室に向かうと、教室にはもうほとんどみんながそろっていた。
「おはよー」
「おはよ、莉子。今日はおそいんだね。美優ちゃん、おはよ」
「おはよー……って、菜月ちゃん?!」
莉子ちゃんに続いて教室に入った私は、目を丸くした。
「わあ、髪切ったんだ!」
金曜日に見た時は、あんなに長かった菜月ちゃんの髪が、ばっさりと肩のあたりまで短くなっている。
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