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やがて、また霧のようなものが現れる。薄く那破の姿になる。
那破は古都音に近づこうと足を踏み出す。だが、力なく体をふらつかせた後、霞んで消えていった。
古都音はまた語りかける。長い長い時間が過ぎる。
だが、那破は現れない。
古都音はすわり込んで涙を落とした。その古都音の肩の辺りにかすかな霧が現れる。
揺らめいて分かりにくいが、手の形だった。手は古都音の肩に手を当てる。
ブライアフィンに示され、夏澄は水晶ではなく、霧のほうに霊力を送る。やがて、那破の姿がはっきり現れた。
「逢いたかった、古都音」
那破はとても優しい目で古都音を見つめた。
「那破……っ」
「俺もこの日を待っていたよ」
古都音は倒れるようにもたれかかる。だか、那破の体をすり抜けてしまう。
古都音は那破の手に自分の手を重ねた。
「私もずっと、この日を待っていました」
白鳳がかすかな声をあげて那破にすり寄る。
那破は目に涙を浮かべた。
「白鳳も、よく無事でいてくれたね……っ」
那破は古都音たちを抱きかかえるように腕を回す。
古都音と白鳳は身を寄せて那破の手を受け止めた。
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