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海に落ちる梅雨に潤う東霖城。
その空間の海の前に、精霊たちのざわめきが響いていた。
「淋しくなるわ」
「元気でな、古都音、白鳳」
「氷晶郷に引っ越しても、私たちのこと忘れないでね」
次々に古都音に言葉を投げる。みんな笑顔だが、涙を流している精霊もいた。
「ありがとう、皆さん。本当に長い間お世話になりました」
古都音も一粒二粒、涙を落とす。
せっかく、那破さんと暮らせるんだから、泣いちゃだめと、となりの精霊に肩を叩かれる。すると、古都音はもっと涙を落とした。
そんな古都音に、空間の海の前に立つ那破は苦笑した。
ゆったりと腕を組む。
那破は霊体だが、少しも頼りなさげなところがない。しっかりと地に足をつけ、力強い仕草で動く。
儚げな古都音を包み込むようだった。
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