第十三章 いつまでも夢を追う

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「古都音、白鳳。無理しないでいいんだよ。急な別れはつらいだろう。もう少し城にお世話になるといい」  古都音はあわてたように首を振る。白鳳も那破にすり寄った。 「ち、違います。私も白鳳も那破のそばにいたいの。でも……」 「分かるよ。東霖城には何百年もいたんだもんな」  那破は古都音と白鳳の頭に手を乗せた。古都音は彼の肩の辺りに顔をうずめる。  そんな二人の姿に、風花まで涙が出そうになった。  古都音さんと那破さんが一緒にいる。本当によかった。  風花は始めて古都音や白鳳と会ったときを思い出した。  夏澄くんが連れてきてくれた青いお城。そこで、同じ人の仲間の古都音さんたちに会えた。あのときはうれしすぎて目まいがした。  そして、一緒に夢を追おうと約束した。古都音さんの夢がかなった。  その古都音さんたちが、この夢の世界のようなお城からいなくなる……。  よろこばないといけないのに、やっぱり寂しい。  風花の目にも涙が浮かんだ。
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