第十三章 いつまでも夢を追う

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「泣かないで、風花」  気がつくと、夏澄がとなりに立っていた。 「古都音とはいつでも会えるからだいじょうぶ。……でも、なにがが欠けた気がするよね」 「そう、また会えますよ、風花さん」  古都音が振りかえる。 「氷晶郷と風花さんの家は近いのでしょう? だから、だいじょうぶです」  古都音は一度言葉を止め、微笑んだ。 「ねえ、風花さん。私の願いは叶いました。次は風花さんの番ですね」 「風花の夢? どんな夢?」  夏澄がうれしげに身を乗り出す。 「元にもどす手伝いをすることなのですよね。夏澄さんの故郷を」  風花は思わずうつむく。夏澄の前でいわれるのは少し恥ずかしかった。 「そうなんだ」  夏澄は少し驚いたようだった。  やがて、きらきらの瞳で微笑んだ。ずっと笑顔で風花を見つめていた。  
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