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「どうしても好きなんですよぉ……」
ある女子生徒から深刻な顔で「相談がある」と言われたときには、いじめか嫌がらせかと内心戦々恐々だった。
が、彼女の口から発せられたのは「恋愛相談」だったのだ。
「瀬尾先生の授業、ほんとにしんどくて……心臓バクバクで……」
泣きそうな顔で本当に苦しそうに言う。
高校生の頃の恋愛って、こんなふうに命がけだったのだろうか。
卒業してからまだ十年も経っていないはずなのに、うまく思い出せない。
「そう、なの……」
なんと言っていいかわからなかった。
というのも、この子が想いを寄せる「瀬尾先生」こそ、私の今の恋人なのだから。
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