マルコと12人の精霊

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「なら、どうしてキミはここにいるの?」 「オイラはべつにどうでもいいんだ。世界が動いても止まっても。中立ってやつさ。真ん中、6番だからね」  よく見ると、帽子の先っぽにある(ふさ)が6つに分かれていました。  朝と夜の境目。彼は6時を司る精霊なのだそうです。 「どうしたら、もとに戻るの?」 「アイツらを探せばいい。連れ戻して、文字盤に戻ってもらえば、時はふたたび刻まれる」 「どこにいるの?」 「そんなのは知らない。きっとこの町のどこかだよ」  文字盤のふちに腰かけて、のんびりと景色をながめる6の時精霊(ときせいれい)に、マルコは言います。 「どっちでもいいなら、探すのを手伝ってよ」 「わかった」 「え、いいの?」  頼んではみたものの、ほんとうに手伝ってくれるとは思っていなかったマルコがおどろくと、精霊はちいさな肩をすくめました。 「みんなカイロスに(そそのか)されているけど、時刻が消えてしまったら、オイラたちの存在も消えてしまうじゃないか」 「そうだよ。朝の6時は一日のはじまりを告げる大切な時刻。なくなっちゃったらこまるよ」 「おまえはなかなかいいヤツだな。オイラは6の時精霊」 「ぼくはマルコ。こっちはユキだよ」  ニャオン。  ぬっと顔を出した白猫の姿におどろいた精霊でしたが、ぴょーんと飛んで、その背中に乗りました。  12人の精霊探しのはじまりです。
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