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マルコは自分の家へ向かいました。
部屋に入って、机の引き出しから懐中時計を取り出します。
おじいちゃんからもらった、マルコの宝物です。やはり数字は消えていましたが、6だけが残っていました。
これはつまり、6時は戻ってきたということなのでしょう。
――他の時刻も取り戻さないと。
懐中時計を首にかけて、ふたたび外へ出ようとしたときです。ベッドのシーツがほんのすこしふくらんでいることに気がつきました。
ユキがひょいと飛び乗って、前足でちょいちょいとつつきますと、それはもぞもぞと動きました。
ばっとシーツをめくると、三角帽子をかぶった人形がいるではありませんか。すやすやと寝息を立てて、気持ちよさそうに眠っています。
「4時のやつは、あいかわらずのねぼすけ野郎だな」
6時の精霊は、ベッドの上に飛び乗ると、眠っている4時の精霊を蹴り飛ばしました。
「うひゃあ。なんだよ、ビックリするじゃないか」
「ねぼすけ野郎め。とっとと起きやがれ」
「おはよう。ぼくはマルコ。ねえ、時計に戻ってくれないかな」
「でもカイロスがさー」
「そのことだけどな。考えてみろよ。文字盤の役目を放棄するってことは、オイラたちは用済みってことだぜ」
「ええ、そんなのってないよ」
「だからお役目を果たすのさ」
「わかったよ」
ねむたげな目をぱっちりと開いて、4時の精霊が言いました。
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