第一部

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 他にも問題はある。逮緊法の施行で賞金稼ぎと呼ばれる連中が誕生したわけだが、賞金稼ぎは、より安定した収入を求める傾向にあった。不安定な社会情勢の中、一定の水準でまとまった金を得られることは、まさに得がたいことだったのだ。日本という国にありながら、日本人は不安定な収入に苦しんでいた。その結果、賞金稼ぎたちは安定した収入のために徒党を組むようになる。要するに組織化していくわけで、一つの依頼に対して複数人で対応すれば取り分は減るが、依頼の成功確率は高くなり収入は安定する、という手合い。そして誕生したのが、民間警備会社(PSC)と呼ばれる組織群だった。  民会警備会社、以下民警は、警察組織から外注された仮逮捕依頼を受け、組織的に仮逮捕を実行、報酬を得るという民間企業となった。犯罪が爆発的に増えた日本ではこれ以上に儲かる話はなく、数多くの民警が乱立することとなる。そして、いずれ賞金稼ぎと呼ばれた荒くれ者たちは息を絶やし、仮逮捕権を行使する民警のみが生き残った。
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