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「それじゃ今回の仕事なんだけど」 渋谷は鞄からクリップで纏められた書類を取り出し見せてきた 「簡単に言うと、全身真っ黒焦げの焼死体なんだけど」 焼死体だと聞けば大抵は火事等で逃げ遅れてそのまま、というのが妥当だがこれは違う 「部屋の物が何一つ燃えていないな」 「そうなんだよ。普通に考えておかしいよね」 「それで、これを私に解明して欲しいと」 「理解が早くて助かるよ」 ふむ....... 全身真っ黒焦げになるほど燃えていながら部屋の中が一切燃えていない 「部屋が荒らされた形跡は?」 「被害者がもがいて物が散乱したであろう周辺物だけだね」 「貴重品等は盗まれていないのか」 「そうみたいでね。殺害目的としか」 貴重品等が盗まれておらず、燃えているのは被害者のみ 「超能力者みたいですね」 小鳥遊がそう呟いた 「超能力者だって?」 「あ、えっと漫画とかで念じた場所に炎を発生させる超能力とかが出てくるんですけどそれみたいだなって」 「くだらんな。作り物の話をしてどうする」 「ま、まぁたしかに.......」 「そんな事言わないの。そんなんだと彼氏くんも逃げちゃうぞ」 「彼氏ではないと言っている」 「おおこわい.......いったっ!!」 無言で机の下から足を蹴ってやった。 下らないことを言う奴だ 「渋谷」 「なんだい?」 「現場を見せろ」 「あー、おっけーいつがいい?」 「出来れば明日。それ以外でも構わんが早めに頼む」 「了解。明日の昼にしようか」 「あぁ」 「え、もしかしてこの写真の現場に行くとかですか」 「当たり前だろ。それ以外に何がある」 「い、いやだって僕ら一般人ですよ.......?」 「あー.......説明してないの?紅音ちゃん」 「ん?あぁこいつは今日初出勤の雇いたてだ」 「そういう事ね。さしずめ探偵助手か」 「そうなるな」 「えっとね。この子、紅音ちゃんはどんな事件も解決する天才女子高生なのさ!」 「.......な、なるほど」 「この子の知識と思考は素晴らしいよ。僕らだけじゃ解き明かせなかったであろうトリックも彼女が1人で見破ってくれる。おかげで犯人逮捕!!なんてこともしばしば」 まるでアニメのナレーションのように説明するな。 いつもなのだが。 「まぁ、そういうわけだ」 「あんまりわかんなかったですけど、つまりシャーロック・ホームズてきな.......?」 「正解」 「はぁ.......」 「おや、もうこんな時間。そろそろ別のお仕事に行かないと」 時計に目をやればもうすぐ13時だ。 話し込んでしまったようだ 「あぁ。また明日」 「また連絡するね紅音ちゃん」 「はいはい」 ニコニコしながら帰っていった。 胡散臭い男だ。 「あのー.......」 「なんだ」 「僕は何をしたらいいんですか.......?」 「あぁ.......」 あ、思い出した。 「お前今日よくも遅刻したな」 「あ、えっと.......」 「遅刻理由を聞かせてもらおうか」 「あ、えっと.......」 「幽霊、か」 「信じて貰えないでしょうけど.......」 「ふむ.......」 1度しっかりこの件を掘り下げておきたいな。 「小鳥遊」 「はい」 「今日空いてるか?」 「あ、はい」 「なら今日は幽霊についてもっと詳しく聞かせてもらおうか」 「.......わかりました」
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