マリーゴールドの花束

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いつも二人で歩く帰り道を一人で駆ける。 気づけばいつの間にか日は落ちてきて、空は茜色に 染まり始めた。 お願い。 どうか光君がいますように───。 そんな私の願いは届かなかった。  「はぁっ…はぁっ…はぁ」    いつも何度も手を振って別れるマンションの前。 もしかしたら待っていてくれるんじゃないかって そんな淡い期待をしていた。 でも現実はそんなに甘くない。 マンションの前に光君の姿はなかった。 「ふぅ…」 深く息をついて空を見上げる。 思いつく場所はもう全て探したし、もうここ以外に 考えられる場所はなかった。 …どうしたらいいんだろう? 途方に暮れた私はスマホを取り出す。 こんなことになるなら、もっと早く連絡先を聞いて おけばよかった。 大学に通っていたなら、今は使ってなかったと してもスマホくらい持ってはいるだろうから。 一旦、清子さんの元に戻ろうと花屋に向かおうと した時───握りしめていたスマホが着信を知らせた。 「え…」 画面を見るとそれは知らない番号で、いつも だったら間違い電話だろうと思って無視するけど 私は迷わず通話を押す。 「…もしもし?」
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