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緊張から声が震えたのが分かった。
『………。』
「もしもし？」
『………。』
電話の先は無言。
普通だったら悪戯電話だと思うところだけど、私は
確信した。
光君だ。
光君が私に電話をかけてきてくれたんだ。
「光君？光君だよね。今どこに居るの？」
『………。』
彼は何も言わない。
でも私は光君に呼ばれているような気がする。
電話の先の顔は見えないけど、あの泣き出しそうな
顔が頭に浮かんだ。
「光君」
『………。』
もう一度呼びかけた時、電話からチャイムの音が
した。
聞き覚えのある学校のチャイムの音が。
私は絶対にこれを聞いたことがある。
それはどこでだっけと考えて…思い出した。
「光君、今迎えに行くから。」
『………。』
「そこで待ってて。」
そう告げて私は通話を切る。
そしてまたすぐに走り出した。
彼は最後まで何も話さなかったけど、電話を
切らないでいてくれたから。
だからきっと私のことを待っていてくれる。
そんな自信がある。
とは言ってもやっぱり早く会いたい気持ちに変わりはなくて、息を切らしながらそこへ向かった。
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