マリーゴールドの花束

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───それから季節は流れて春。 光君は大学に入り直して、また通い始めた。 今日の授業は午前だけだから、昼過ぎには帰って 来るはず。 それを知っていた私は彼には秘密で半休をとって いた。 だって今日は特別な日だから。 「こんにちは。清子さん。」 「いらっしゃい。」 彼が帰って来るよりずっと早く、花屋に到着した私は計画を実行する。 それには清子さんの協力が絶対に必要。 こっそり相談したら、清子さんは快く受け入れて くれた。 「私、不器用なんですけど大丈夫ですか?」 「あははっ、大丈夫ですよ。 葉月さんからなら何だってあの子は喜ぶん だから。」 そうだったらいいな。 でもどうせなら綺麗な物を贈りたい。  前にあげた不格好なクッキーですら彼は喜んで くれたから、きっとどんな物でも私が一生懸命 作ったことが分かれば彼は喜んでくれるとは思う けれど。 清子さんに教えてもらいながら少しずつ、丁寧に 進めて行って何とか形になってくると嬉しくなる。 去年までの…光君と出会う前の私からはとても考え られない。
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