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その後先生がやって来て、幸いにして軽い脳震盪で
済んだことを教えてもらった。
確かに腕や足に少し擦り傷はあるけど、起き 上がっても特に痛みもない。
ただ、頭を打ったから念のため明日までは入院と
なった。
「弟さん、とても心配されてましたよ。」
と看護師さんに言われて、私は曖昧に笑うことしか
出来ない。
やっぱり傍から見たら姉弟に見えるよねとか、心配
かけてしまって申し訳ないとかいろいろ思うことは
あるけど、今言えることは一つ。
早くまた光君に会いたい。
退院したらすぐに元気な姿を見せて、安心させて
あげたいと思った。
なんて言って、本当はただ私が会いたいだけかも
しれない。
先生達が病室を出て行くと、またとたんに静かに
なる。
会社の上司に連絡をした後、特にやることも
なかった私はずっと窓辺に飾ってあるシオンを
眺めていた。
この花の花言葉は何だろう?
確かあの本には載っていなかった気がする。
検索しようとスマホを取り出したところで
コンコン…とノックの音がした。
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