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もしかして光君かなと、密かに期待した私は咄嗟に
手で髪を整えたりする。
「はい。」
返事をするとゆっくりとドアが開く。
その先に見えたのは光君じゃなくて、清子さん
だった。
勝手に光君だと考えてしまって恥ずかしい。
「こんな時間にすみません。起きてて大丈夫ですか?」
「いいえ。軽い脳震盪だったみたいなので、今は
もう何ともないです。」
「よかった。」
ほっと清子さんが安心したように息をつく。
きっと光君から聞いたんだろう。
清子さんにまで心配をかけてしまって申し訳ない。
ベッドの脇のイスに腰をかける。
その手には何か荷物が。
「ごめんなさいね。この時間だとコンビニくらい
しか開いてなくて。」
「え、こんなにたくさん。わざわざありがとう
ございます。」
清子さんが袋の中を広げて見せてくれた。
その中にはたくさんのお菓子やら飲み物やらが
詰まってる。
「せっかく買って来てもらってあれなんですけど
実は明日には退院出来るんです。」
「それはよかった。だったらこれはお家で食べて
下さい。」
「はい。ありがとうございます。」
お見舞いを受け取った私に、清子さんは突然頭を
下げた。
「光を庇って下さってありがとうございます。」
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