84人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日、朝一番で診察をしてもらって何の異常も
なかった私はすぐに退院することが出来た。
突然のことだったけど、たった一泊の入院だった
から荷物らしい荷物はない。
強いて言えば清子さんが買って来てくれたお見舞いの品と、シオンの花だけ。
家に帰ってすぐにシオンを花瓶に生けた私は
さっそく花言葉を調べてみることにした。
載っていた記憶はないけど、一応本から調べて
みる。
するとやっぱり載っていなかったから、結局スマホで検索することにした。
“シオン”“花言葉”で検索をすると数秒もしないうちにパッと、画面に表示される。
「君を忘れない…」
それはまるで別れの言葉のようで、いても立っても
居られなくなった私は慌てて花屋に向かった。
走りながら考える。
光君は…もう私とは会わないつもりなのかもしれ
ないと。
走るのは得意じゃないけど、全力で走った私は店先に清子さんの姿を見つけて駆け寄った。
「清子さん!」
清子さんが振り向く。
そして私を迎えてくれたのは、いつものあの穏やかな笑顔ではなかった。
何だか胸騒ぎがする。
最初のコメントを投稿しよう!