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和美5歳
おもちゃ屋に来たときの和美は大変だ。休日のおもちゃ屋は賑わいを見せていた。合体ロボットや変身ベルト、おままごとセットなどが至る所にあり、和美は売り場を次々と進んでいく。その間も俺の手を千切れるくらい引いて連れ回していた。そして、キッズスペースを見つけると、俺を椅子に置き去りにして大きなクッション性のつみきで遊び出す。
俺は角にある椅子に座りながら周囲を見回した。日曜日だからか親子連れが多かった。中には子どもを背に乗せ、『お馬さんごっこ』をしている父親もいる。和美が大きくなりすぎたからな、俺には厳しいな。
そんな親子連れを眺めているうちに時計はお昼の時間を指した。昼食を食べるためか、徐々に親子連れが減っていく。そういえば、和美は?
キッズスペースもその周りの棚も見たが、彼女は見当たらない。置いて行かれたのか。途方にくれていると、奥から泣き声がする。それはだんだんこちらへ近づいてきた。
「パパ、どこ・・・・・・パパ!」
涙で目を腫らした和美が俺に抱きつく。心配かけさせてごめんな。そのあとすぐ育江も追いかけてきた。
「かずちゃん突然走っちゃダメでしょ、危ないから」
そう言って和美を注意するが、和美は寂しかったと言わんばかりに俺の身体に顔を擦りつけてくる。よしよし、俺はもういるんだから泣くなって。和美を胸で受け止めあやしていると、頭上で微かに舌打ちが聞こえた。
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