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完璧な恋人
あれはたしか、冬哉さんとお付き合いを始めて、ちょうど半年が過ぎた頃だっただろうか。
鉄骨と檜の木材が芸術的に絡み合うオフィスの、シンと静かな彼の個室で、私たちは逢瀬を重ねていた。
「冬哉さんの恋人にしてもらえたなんて、今でも信じられません。私はまだ未熟で、なにもできないのに……」
ふいに不安になって、目の前に立っている冬哉さんにそうつぶやいた。
身長差があるため、うつむいた状態で上目に顔色をうかがっても彼の口もとしか見えず、表情が読めない。
「冬哉さんは、どうして私を好きになってくれたんですか?」
時間とともに積もっていた疑問を、ついに彼にぶつけた。今まで、私の好意ばかりを伝え、こうして問いただしたことはなかった。面倒だと思われちゃうかな、と不安だったから。
顔を上げると、彼はフッと笑みを落とし、
「……俺が」
ポツンと、
「俺が本当は、凪紗のことを好きじゃなかったら、どうする?」
そう言った。
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