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『差別主義者である事をよく理解していた』
「はよー」
友人達がまだ戻らぬ教室で、此方に話しかけようとチラチラと視線を送ってくる未知の生物たちを苦痛に思い始めた頃に、羽田が登校してきた。
「羽田、遅いだろ……」
面倒ではあるが退室を検討していた井村は思わず恨めしい気持ちになる。
「あー……でも登校しただけ偉ぇだろー?」
左頬にくっきりと赤い手形を付けて、教室に入ってきた羽田 修二を見た井村は目を丸くした。
頬の腫れがもっと色付いていたら。
唇が切れていたなら同性同士の喧嘩だろうと真っ先に思うだろう。
だが、男の頬に赤い手形を見れば大概の人間は異性との痴話喧嘩だと邪推するものだ。(あくまで井村の独断と偏見だ)
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