『差別主義者である事をよく理解していた』

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羽田が学生鞄を乱暴に置く。 不機嫌な表情をしている所為で「女もどき」達が寄り付かないのは有りがたい。 「あ~休み終わる~だりぃ」 「おーす。羽田」 「え? 羽田今きたわけ? おせぇよ」 休憩時間が20分を切り、少しずつ友人達が教室に戻ってくる。 そして水と油が分離するように「女もどき」と「普通の男子生徒」のグループは綺麗に別れる。 頬の手形に気付いたクラスメイトは、挨拶以上の言葉を羽田に掛けることは無かった。 平素、彼は賑やかで陽気な男だ。 しかし今は酷く不機嫌で、頬には平手打ちの後がある。 下手に言葉をかけて地雷など踏みたくない。 数少ない友人内で、人間関係の亀裂など誰だって望みはしないのだ。
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