井村と未知の生物「女もどき」

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「羽田のやつまだ来てないんだ……」 独り言だったが、ドア近くの席を陣取った女の様な見た目のクラスメイト3人がぴたりとおしゃべりと止めて体ごと井村に向き直る。 何気ない一言に反応されて最悪な気分になった。 「4限目までには来るんじゃないの?」 「早く来ると良いね」 「羽田君がいないと井村君つまんないでしょう?」 小柄で華奢な体。 女の子の様なフワフワのボブカット。 濡れた様な唇。 淡くピンクのベールを纏ったかのような顔に施された化粧。 3人の中の1人は、不自然なほど黒目が大きい。 カラーコンタクトを使用し通常よりも目を大きく見せているのだ。 制服の下で鳥肌が立った。 なんて気持ち悪い奴らなんだろう。
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