青い空

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             第一章  あの日は澄み渡った青空だった。雲ひとつもなかった。教室でいるだけでもったいないと思うほど良い天気だった。空を飛ぶ鳥たちのような自由に生きているといいなぁ時々そう思っていた。    あの日についての記憶が抜群に素晴らしかった。隅から隅までの起こったことがすべて胸に焼き付いていた。    お昼になったら、食欲がなくて昼ご飯を抜きにして一人で保健室で昼寝をしたこと。窓を越して空を見るのが好きすぎてたまらなかった私を何度も先生に叱られてその数学の先生が言った内容までも鮮明に覚えていたこと。物理の先生の授業はいつもようにつまらないのに、全然居眠りをする気がなかったこと。あの日のことがすべてさっき起こったようによく目の前に浮かんでいた。 こんな良い日には絶対に悲しいことが起こるはずがないと勝手に思ったところ、今までの人生で初めて大切な人を失う感情を存分に味わわせてくれた。 だから、あの日、教室で聞こえてきた蝉の鳴き声が、うら寂しくて悲しかったのだ。  一番好きなアイドルの曲を歌った目覚まし時計が私をあの悲しい夢の世界から引き戻してくれて、そして、学校へ行く時間だよって優しく教えてくれた。  「あの日の夢を久しぶりに見た」と自分に呟いた。  目じりのところから残った僅かな涙を軽く拭いて、学校へ行く準備をし始めた。  朝ご飯を食べながら昔のことを考えている。  あの日はお父さんが亡くなった日だった。  学校にいた私を迎えてくれたのは仕事場でお父さんの2人の同僚が、担任の先生にちゃんと事情を説明して頂いた後に、私は何も知らないままの状態で、彼達と一緒に家に帰ることになった。家に着いたら、お父さんが床で横になった姿を見てからというもの、あの日のすべてのことを心の奥に鮮明に刻んでいて、一瞬たりとも忘れたことがない。  あの日、私は14歳で、中学二年生だった。  今、私は17歳で、高校二年生であるのだ。  今、お母さんと2人でこのアパートの406室で住んでいる。お父さんの実家にはこのアパートを経営する権利があると言われているが、詳しい状況が私もよくわからないのだ。お父さんが亡くなった間もなく、お祖母ちゃんとお祖父ちゃんの好意を受けて、お母さんと2人でこの406室に引っ越して住むことになった。  当時のこともよく覚えていた。  お祖母ちゃんが優しそうな目で私を見て「七海ちゃん、大丈夫だよ、これからお祖母ちゃん、お祖父ちゃんと一緒に暮らしていこう、私たちは君と清子さんの面倒を見てあげるよ、何のことも心配しないでね」と言った。  正直に言うと、当時のお父さんに亡くなられたばかりの私にはそういう話をどうしても信じられなかった。お父さんが亡くなる前に、私たちの家族はよくお父さんの実家へ遊びに行った。正月のところはもちろん、週末までお父さんの実家に呼ばれたことがあるのが、楽しい記憶と言えば指で数えることができるのだ。  しかし、当時私にそう言ってくれたお祖母ちゃんには心からずっと感謝している。お母さんはお父さんが亡くなってからのしばらくの間で泣いたりぼんやりしたことが多いので、私一人の力でどうにもできないということを知っていた。周りの環境を変えれば、一緒に暮らしている家族メンバーが多くになれば、お母さんの気持ちもいつか晴れるかもしれないと思えば、お祖母ちゃんにしか感謝していなかった。  その後の展開は、私の思わずの方向に変わってしまった。  やっぱり、当時そういうふうにお父さんの実家のみなさんを優しく思った私には甘かったのだ。    「憂鬱な朝だなぁ」とため息をついて呟いて、かばんを持って重い足で家を出たことにする。  下から争いの声が聞こえてきて、急いで下に向くと、お母さんは301室の住人と何かを争っているそうだ。  私を見ると、お母さんは「もう、学校に行く時間なの?」と聞いてくれた。  「そうだよ、朝ご飯、ありがと~」とお母さんに答えた。  「七海ちゃん、いってらっしゃい」と301室の亜矢子さんが笑顔で言ってくれた。  「はい、行ってきます」と亜矢子さんに挨拶をしながらそう言った。  「亜矢子さんだったのか、なんかほっとした」と呟いた。  このアパートの住人たちの中で、亜矢子さんはお母さんの仲良しで、二人でよく買い物をしたり公園で散歩したりする。  「今日一日長いかも」と呟いて学校へ走り出す。  学校から帰っている途中に、先生の話を考えながらバイト先に向かって歩いていた。  来年の四月になると、高校三年生になる。先生の言う通りに、大学へ行くには入学試験の準備を今から始まらなければならないのだ。今の成績では普通の大学なら問題がない。しかし、もっと良い大学へ行くには塾に通る必要があるのだ。塾に通うのは簡単なことじゃないと自分でもわかる。お母さんに言うと、お母さんは絶対に私に塾を行かせるのは何とかする。  なんか「お金のことは心配しない」ということを言ってくれるそうだ。しかし、お母さんは頭を下げてお祖母ちゃんからお金をもらうのは私一番嫌なこたであるのだ。  ダメだ、そう考えると、バイト先に行くの足が重いそうで動けないかもしれない。実は、私、お母さんに隠れて探偵事務所でバイトをしているのだ。お母さんに言えない理由があって、いつか自分に納得できる真相が見つかったら、お母さんに言うつもりのだ。  やっとバイト先についた。しかし、中の先生のことを思うと気が重いなと思わずにため息をつきながら事務所の門を開けたら、中から先生の悲鳴を聞こえてきて「ななちゃん、やっと見つかったよ!!褒めて褒めて」と先生が言ってくれた。  「はい、はい、先生は偉いですね!何が見つかりましたか?」と先生に聞いた。  「はぁ?なに?その薄い反応?」と先生が不満に言ってくれた。  やばっ!先生に引っ張ったら、時間になりそう。  「先生、すいません、学校から帰ったばかりなので、ちょっとぼんやりしてて、こんなテンション盛り上がって、何を見つけりましたか?」と改めてもう一度先生に聞いた。  先生は満足げにニヤニヤしていながら「時計だよ!君のお父さんの限定の時計だよ!!」と言ってくれた。  その話を聞いた瞬間に、耳を疑ったほど目を丸くして先生の方をずっと見ていた。  「わぁい、わぁい、ななちゃん、大丈夫?」と先生が心配そうに聞いてくれた。  「先生、あれは本当ですか?どこで見つかりましたか?」と私は焦ってて先生に聞いた。  「まぁ、まぁ、焦らないで、ゆっくり教えてあげるよ」と先生が私の頭を撫でてそう言ってくれた。                                 第二章  お父さんが横になったあの日、  お父さんの時計だけが、どこでも見つからなかったのだ。    あの日ずっと泣いたりぼんやりしたお母さんに「お父さんの時計を見ましたか」のようなことをどうしても私には聞くことができなかった。  ほかの家族に聞いて見ようと思ったら、彼達全員は他人に電話してお父さんの死を伝えるのを見てから、時計のことを聞くのがようやく諦めた。    私はずっと、葬式で使ったあの笑顔満面のお父さんの写真を見て、静かに涙が顔から落ちていった。他人に聞こえないような声で泣いてた。お父さんは他界に行くのを悲しんでた。    しかし、心の中でずっとお父さんの死に対しての疑問を抱えていて、お父さんの時計はいったいどこに行ったのだろう?  誕生日プレゼントとしてお父さんにあげたあの時計は、お父さんの葬式が終わったまで、どこでも見つからなかった。  お父さんが亡くなる前のちょうど一週間前の火曜日はお父さんの40歳の誕生日だったので、私は一年間のバイト先からもらったお金を貯めてディズニー限定の時計を買ってお父さんにあげたのだ。  その限定の時計をお父さんにあげた時に、お父さんは非常に嬉しかったので、お風呂に入る以外のところ、その時計はお父さんの腕を離れたことがなかった。  一週間は経ったばかりのところに、お父さんは他界に行って、その時計もどこでも見つからなかったなんてずっとおかしいと思っていた。その時計をずっと大事にしていたお父さんはなぜお風呂に入る以外の時にその時計を外していたのだろう。  そういうことがあるから、ここの探偵事務所でお母さんに隠れてバイトをするかたわら、お父さんの意外の事故を調べている。真相が明らかになるまで絶対に諦めないのだ。    確かに、お父さんは心臓が弱いので、一年の中で、二ヶ月ぐらいで病院に住んで定期的に治療を受ける必要があるのだ。しかし、お父さんが退院したばかりのところで永遠に目を閉じた。ずっとお父さんの心臓を治療した先生までお父さんの死を知った時に非常に驚いた。  お父さんは突然の倒れで意外の事故のために亡くなったと当時の先生から言われたけれども、その先生に突然の倒れということはいったいどんなことですかと聞いたら、先生もうまく私に説明することができないので、例えば他人に倒れられたとか自分の不注意で倒れたとかのいろいろな原因があるそうですと言われた。  
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